甘いもん好きおやじのブログ

日常の面白いことを描きます。

百年経ったら死なないといけない世界の話

政治とか法律とか色々絡んでくるので、難しい言葉と内容かと思ったらとても読みやすかったです。

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文章が分かりやすく書かれているのだと思います。
百年法とは、この架空の舞台、日本共和国で施行されている百年後に死ななければいけないという法律のことです。
戦後に開発された不死の命のせいで、国民のほとんどが永遠の命を手に入れ、それに規制を掛けるというか、そんな法律です。
前半はこれが施行されるまでの、国会のやり取りや国民個人のエピソードなど、マクロからミクロの視点で代わる代わる描かれています。
主人公はおらず、章ごとに登場人物が変わるので、キャラクターに感情移入したいタイプの人は読んでて辛いかもしれません。
が、登場人物が交代に出てきて色んな立場から死について考えるのは、この本の演出だと思うので、それがいいと思えた人は面白いと思います。
こういうのを群像劇と言うのでしょうか。
死と不老不死をテーマにしているので、暗い話になりがちですが、そこは文章が警戒と言うか、ユニークな登場人物も出てくるので、そこまでの陰鬱な雰囲気はありませんでした。
バーテンダーが作る不思議なカクテルの名前がおちゃらけてたり、自動で動くカプセルがポンコツだったりと、近未来なのにどこか洗練されてなくてそこが面白いです。

登場人物が政治家や庶民、刑事、元テロリスト?とか様々で、デフォルメされててるなという印象でした。
悪く言うと典型的なキャラクターたちなんだけど、そこが誇張されているので、読んでて分かりやすい理由なんだと思います。
起きる出来事も日本の戦後史というか、実際起きたことを百年法の是非を問う形で発生させている感じです。
多分、キャラも出来事も実際のものをモチーフにしているところがあるのでしょう。

物語の時間軸が長く、この上巻だけで50年近く経っています。
やっと、キャラが出そろって行動動機も整理されて、これからどういう動きをするのかと言った感じです。
次が気になる内容でした。