甘いもん好きおやじのブログ

日常の面白いことを描きます。

桐野 夏生の「東京島」を読んで、女の気持ちを考える

無人島に漂着して、、、っていう話はよくあるけれど、男30人に女1人という設定は面白そうだと思って読みました。
ですが、実際に合った事件が元ネタらしくて、オリジナルの設定じゃないと読んだ後知ってちょっとがっかり。
でも、面白かったです。
文章は好き嫌い分かれそうなぶっきらぼうな文体でした。
何か投げやりというか、放り投げたような感情表現。それがこの作者の味なのかなと思いました。
たった一人の女が中年の四十代っていうのも、いいですね。
ラノベとかだったら、中学生の女の子になったんだろうな。
その中年女が初めは、島一人の女ということでちやほやされてるけど、時と状況が変わるにつ入れて粗末にな扱いになる。
あくまで女の視点でそれが語られてて、女の寂しさが伝わる。
現実世界でも無人島世界でも何だか共通する感情があります。
女性作家ならではといった、女の気持ちがよく描かれてると思います。
誰の子か分からない子供を妊娠したり、弱い男に魅かれてみたりと、その都度その都度の心理描写が女性らしいなと思いました。

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展開はハラハラドキドキというよりは、なんだかどこか滑稽で、出てくる人物もどこか剽軽というか面白いです。
島から脱出したいんだろうけど、それが今一つ伝わらないのは残念。
もうちょっとサバイバル描写がほしかったかな。
でも、女の気持ちを無人島に載せて表現した小説としてならありですね。

あと、ネーミングセンスが不気味というか話に合ってましたね。
島のあちこちの場所をシブヤとかホンコンとかって。