甘いもん好きおやじのブログ

日常の面白いことを描きます。

小説「輓馬」を読みました

北海道の輓馬をベースに、借金まみれの男がやり直しを誓う話です。
最後に借金取りが、厩舎までやってきます。
そこで、馬の世話を通じて心が通い合った兄と主人公の別れのシーンが感動的です。
兄が弟である主人公を、借金取りから助けようとしますが、輓馬を通してやり直すことを決めた主人公が、それを振り切って立ち向かうところで
終わるところが良いなと思いました。

北海道の寒さ、輓馬の躍動感、あと人々とのやり取りが丁寧に描かれています。
ただ、バリバリの輓馬レースをメインにしたエンターテイメント小説と思って読むと拍子抜けするかもです。
あくまで輓馬は、主人公が立ち直るためのきっかけであって、メインテーマは人生とは、とか希望とかそういうことになっています。

イメージ 1


この主人公も堕落して借金を作った訳じゃないので、人生やり直しも何も、元々ちゃんと生きてたじゃん、とか思うところはあったけど、
主人公が最後に、輓馬になぞらえた人生を語る部分で、些末なことだと思いました。

第一章で、輓馬を教えてくれた丹波と言うおじさんが出てくるのですが、いかにも競馬場に居そうなおじさんで面白かったです。
このおじさんが、主人公に輓馬の馬券の買い方を教えているのですが、ここを読むだけでも輓馬での馬券の買い方が理解できます。