物語を読みながら小説の書き方が分かる 「小説の書きかた」
普通の小説の書き方本と異なるのは、解説だけじゃなく、物語形式で登場人物たちが小説を書いていく過程が載っていることでしょうか。
高校の文芸部を舞台に、部員が実際に小説賞に投稿するための小説を書くことで、成長していく物語です。
部員たちがグランドでキャッチボールをしているという爽やかな描写から物語が始まります。
部長の大造が「編集者」として、部員の女の子たちに小説を書かせます。
できた小説を大造が読んでダメだししたり、アドバイスをすることで、小説の書き方が、読者にもわかるようになっています。
普通だと、こう書けとか、アドバイスで終わるのが書き方本です。
が、この本の場合、そのアドバイスを受けた女の子たちが、自分たちの小説に生かしていく実践の過程が読めて、実際に小説を書く人には参考になると思います。
投稿用の小説が劇中劇として、一本の作品が並行して進んでいきます。
作るうえで、女の子たちが悩みながら作り、問題解決していくのが、この本の醍醐味です。
そして、終盤に思いっきり、出来上がった小説を修正していくことになります。
このあたり、実際に作者も編集者とのやり取りで経験しているのでしょう。
リアルな感じです。
・アイポイントの固定
・理由を順に追って考える困難分割
・まずは体言止めで進めて、あとで直してバランスを整える
・悲しさに悲しさを重ねず、明るさを入れる衝突の技法
・小説は起こりえないことを描く、だから細部のリアリティに力を入れなければ面白くならない
・ダメ出しされてよいものを作る
・全部見せない。うまい嘘を付くためにある側面だけを書く
・どのタイミングで何を書くのかを考える
・場面に会った言葉を選ぶ
・ほかの誰にも書けないだろうという闘争心
・完成度より爆発力
など、勉強になることがすんなり入ってきます。