甘いもん好きおやじのブログ

日常の面白いことを描きます。

横山秀夫「真相」面白かった。

短編が五編収録されています。

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一編がだいたい70ページくらいで、中編未満の短編って感じで、ちょっと読むのにはちょうどいい分量です。
それでいて、読みごたえがありました。
主人公の立場と環境が五編ともそれぞれ異なっていて、職業がみんな違います。
家族構成とか、仕事での悩みとか、仕事の内容とかを、詳細にさりげなく説明があり、読む側としてはストーリーに入り込みやすいです。
こういう基本が出来ているから、主人公のとる行動も納得できるようになってます。

題にもなってる真相は、意外な展開で終わりますが、主人公の心理とかで救いのある終わり方になって居ます。
心理描写と言うか、心の変化を表すのが上手いです。
村の選挙戦を描いた18番ホールは、ミステリと、選挙戦の内幕がよく描かれていて、勉強になるし救いのない展開にゾッとしました。
面白くリアルな小説を書くには、筆力と知識と勉強がいるのだなあと言うのも分かりました。

最後の他人の家も、よくできていて、登場人物の名前が重要なカギになって居ました。
あのお爺さんの名前をありがちな苗字にしているのは、そういうことだったんだなと納得できました。
この話も最後の方で急展開になり、想像していない終わり方になったけど、腑に落ちました。
納得できるどんでん返しに出来るのが凄いと思いました。