甘いもん好きおやじのブログ

日常の面白いことを描きます。

独居45

異常行動が目立つが、何かちょっと小心者な感じのマイナー作家、坂下宙ぅ吉を中心とした物語。
宙ぅ吉の異常行動が原因で、善良な人たちが少しずつ変わっていく様が怖い。

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考えも少し変わってて、人間なんか立場が変われば、誰だって残虐になれるんだということを、わざわざ町の文化講演のテーマとしてしゃべっている。
あまりの暴論に、聴いている人達は、苦り切った顔。
しまいには自分でつけた傷まで見せて、どうだと言わんばかりの手に負えない感じ。
所謂、KYの見本みたいな宙ぅ吉は、こんな人近くに居たら、嫌だなと思える人の代表です。
それが、詳しく描写されていて、宙ぅ吉先生の生活に、否が応でも引き込まれてしまいます。
宙ぅ吉が原因で引き起こされる次なる展開を心待ちにしてしまいます。
要所要所で、宙ぅ吉の著作の一部が挿入されますが、それが持って回って書いたような文章で、何だか、自分だけは絶対死なないって思ってる中学生みたいな感じの子供っぽくて小心者な印象が良く伝わる。
私の今まで読んだ小説に登場しなかったタイプの人で面白かったです。

宙ぅ吉の大ファンで、宙ぅ吉の出すゴミまで集め出す、作家志望であり公務員志望の堤龍介。
堤龍介がこの作家の家に忍び込んだことで、物語が急展開していきます。

終盤で、宙ぅ吉に向けて、怒り狂った市民が物を投げつけるシーンが登場します。
善良な人たちも時と場合によっては凶暴になるのだという、宙ぅ吉の考え通りの展開になったかのように見えます。
ただ、宙ぅ吉の異常行動が原因で、人々をそういう行動に駆り立てたとも言えるので、宙ぅ吉先生がそう仕向けたとも言えるのでしょうか。
でも、宙ぅ吉は市民に嫌がらせをするつもりなど無く、個人的な理由で異常な行動をしているという描写があります。
では、宙ぅ吉は、どちらかといえば被害者なのか、、、。