甘いもん好きおやじのブログ

日常の面白いことを描きます。

今夜、すべてのバーで

著者自身もアル中で、その体験に元づいて書かれたような内容です。
かなりの文献を参考にして書かれているようで、ユングフロイトなんかの夢分析の話や心理学の話に絡めて、アル中やその他に依存する人間とは一体何なのかといったことまで考察が及んでいます。

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実は一度、二十年ほど前、大学生の時本書を読んでいます。
確かラストは、主人公のことを好きな女性が父親がアル中で家庭崩壊したことを話すことで、主人公をアル中から脱出させるという内容だったと思います。
そこの部分に感動した覚えがあり、もう一度あの感動をと言うことで再読。
最初の一ページからほとんど内容を忘れている。
微かに覚えているのもあるけど、まるで新しい本を読んでいるよう。
主人公が刹那的に身を亡ぼすほど、つまりは一日一本のウイスキーを空けるほど飲む。
死の一歩手前で病院に運ばれたことから話が始まります。
入院生活で主人公が体力が回復するとともに、退院後の酒との付き合いを考えるようになります。
何かに依存するのが人間だとは思いますが、主人公は病院にいる間も隠れて酒を飲みに街に出ます。
色々なことがきっかけになり、退院する頃には酒を止める決心をします。
最後はバーで、主人公と、彼に思いを寄せる女性、二人でミルクを飲むシーン。
「きみがおれのアルコールだ」
と、気障なことを言った主人公は、照れた女がスツールの足をけったことで主人公がバランスを崩し、後ろに倒れます。
まもなく後頭部を後ろの壁にぶつけるというところで話が終わります。

この話のようには、著者のらも氏はいかなかったようです。
この本を出した数年後に、酔っ払って階段から落ちて頭を打ってこの世から、さよならしてしまいました。
主人公は酔ってなかったから無意識に受け身を取れたのかもしれません。
ですが、酔った状態のらも氏は、そのまま床に頭をぶつけてしまったのでしょう。

年を取って読んでみると、やはり印象が違います。
あの頃は共感できたことも、今ではそれほどでもない。
主人公がギターを盗んでお金を稼ぐとこなんかは、今読むと、何だか残念。
いくら退廃してたことを表現しようと言っても、なんか違う。
読むほうも大人になると、色々とケチがつけたくなるのです。