甘いもん好きおやじのブログ

日常の面白いことを描きます。

城山三郎「うまい話あり」を読んだ。ガソリンスタンド経営の話。

時代設定は昭和50年代初頭辺りでしょうか。
車社会がいよいよ隆盛を迎え、誰もがマイカーを持って海や山、レジャーに向かう。そんな時代背景がベースにあるようです。
そして、自分勝手な若者が目立ってきて、今でいうパワハラ的な会社が問題になって居ない時代。

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そんな時代に、主人公が会社を辞め所謂フランチャイズ外資系のガソリンスタンドの経営を始めるという話です。
真っ直ぐな主人公は、会社で上司に胡麻をすることが出来ず、子会社に左遷されてしまいます。
会社のパワハラや嫌がらせに嫌気がさした主人公は、ある日、同級生の友人からガソリンスタンドをやらないかと勧められます。
パンフレットを見ると、希望に満ちた生活が送れると思った主人公。
早速、会社を辞め経営者として応募することになります。

ですが、やはりうまく行かず、うまい話ばかりではないと、経営をしていきながら気付いて行きます。

外資系の会社が親なので、その辺のクールと言うか割り切ったやり方や指導に、日本人として困惑している様が描かれていますが、四十年前くらいの日本人はやはりそう感じたのでしょう。
今は、外資何てそんなもんだと思うのでしょうが。。。
契約書については全て外資が有利になるように書かれているし、その網の目を縫って自分の利益を追求していくやりとりはなかなか面白い。
だけど、外資もなかなか上手で、ガソリンスタンド同士で格差をつけて敵意を味方同士に向けさせたりとなかなかえぐい。
経済小説と言うか、社会小説として面白かったです。

最後は、バイトのみんなが主人公を助けて本当の経営者になった感じになりました。
ガソリンスタンドを廃業することになった主人公を、ずーっと見ていた人が次の仕事を紹介してくれたりと、努力は報われるんだなと言う、
後味がすっきりした終わり方も良かったです。