甘いもん好きおやじのブログ

日常の面白いことを描きます。

梁 石日「雷鳴」

1918年の済州島が舞台。

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18才の春玉は、実家の李家を助けるため、地元で名門の尹家に嫁ぐことになります。
夫は、わずか10才の子供です。
まるで、政略結婚のようです。
親離れしていない幼い夫は、姑である母親になついたまま。
姑は、姑で、息子を奪った春玉が憎いので、春玉がを、毎日いじめます。
過酷な運命にさらされる春玉が可哀想です。
でも、強く生きています。

幼い夫が、だんだん大人になり、春玉に興味を示しだすところが生々しいです。
拒むと、姑を味方に付けて暴力をふるうところなど最低です。
中盤で、春玉は、小作人の高昌淳に恋をします。
ですが、好きでもない夫だけど結婚しているという事実が、春玉を悩ませます。悲しいです。

話の中で、八字(バルチャ 運命)という言葉が出てきます。
生年月日時という4柱によって自分の禍福はすでに決まっているというシャーマニズムの言説だそうです。
その運命を受容して生きていくのが、朝鮮女の生き方として信じられていると書かれています。
春玉も運命を受け入れつつも力強く生きていて、魅力のある主人公だと思いました。

この時代の済州島と日本の関わりも見どころです。
済州島の自然が、綺麗に描かれています。