甘いもん好きおやじのブログ

日常の面白いことを描きます。

石田衣良の波のうえの魔術師、株の話です。

株の知識が多少あれば、楽しめると思います。
ただ、株の知識が無くても、人間のドラマの部分が半分はあるので、そこで楽しめると思います。
でも、もっと楽しみたいと思えば、株で言うとこの、空売りの仕組みのさわりを学んでおくと、いいですね。

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で、内容としては、謎の株の達人である老人が、フラフラしてる若者をヘッドハンティングして育て上げ、とある銀行に復讐するというもの。
復讐のやり方が、銀行の株価を暴落させて、空売りで巨額の粗利益を得ること。
まず、ヤクザやホームレスを使って銀行口座をたくさん作り、風評被害を発生させて、取り付け騒ぎを起こさせます。
それをテレビのニュースで流させて、株価を暴落させるという、なかなかえぐいやり方です。
ですが、文章が爽やかなので、そんなにドロドロしてません。
反面、淡々とした描写なので、それほどスリリングではないです。
主人公も老人も比較的能力が高く、意外に物事がうまく行きすぎて、ハラハラが少なく、もうちょっとピンチの場面が欲しかったです。

空売りを成功させて儲けたのは老人と若者だけで、被害者の会のほかの人は儲けてないし。
実際は、復讐になってないなと思いました。

敵である銀行も、社員自体は悪人でないというところも、勧善懲悪と言う感じにならなかったです。
ところどころに垣間見える作者の考え、
アングロサクソンについてとか、稼ぎ方による金の価値とかは、面白いなと思いました。
あと、若者の恋人のミチルが捨てキャラだったのが意外でした。