甘いもん好きおやじのブログ

日常の面白いことを描きます。

中島らも「砂をつかんで立ち上がれ」

中島らもの本と初めて出会ったのは、市民プールのロッカールームで、でした。
中学二年生の時でした。
だから、もう二十五年以上前です。
自分の入れた水着を取り出そうとロッカーを開け、ふと、地面を見ると、らも氏の本が落ちてました。
カバーが外れたそれは、「中島らものたまらん人々」でした。
拾って一読して、面白いものを見つけたなと思いました。
この本はエッセイなのですが、文章の途中で漫画と言うかイラストが突如、登場します。
らも氏の描いた漫画です。
味のある絵で、ちょっと大人な内容のエッセイに、中学生の自分は惹かれてしまいました。

で、大人に至るまで、らも氏の本はいろいろ読んできました。
色々読んできて気付いたのが、本人も言うように、同じ内容を色んなところに書いていることです。
既読感があり、「あれ? このエピソードどこかの本でも読んだぞ」みたいなことが多かったです。
でも、それが一つの味であり、同じエピソードも若干、文章の内容が違うので、再度面白く読めてしまいます。

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本書もそう言った、既読感のあるエピソードがいくつかありますが、比較的読んだことのない内容が多かったです。
だから、らも氏の文章が好きな人は読んで安心です。

やはり、エッセイが上手いというか、1から3ページでよくまとまっています。
オチがちゃんとあるし、納得できる内容です。
それでいて分かりやすいというのは、なかなか出来ることじゃないです。
人間色々言いたいことがあるからエッセイ書くと、長くなりがちですが、らも氏のは、すっきりまとまってて面白いです。

らも氏が好きなもの、人、本などについて語っていて、その中でも私は「森三助」という放浪作家の本を読んでみたいと思いました。
それだけ、少ないページ数で物事の魅力を伝えるのが上手いです。
というか、私がらも氏の文章が好きなだけなのかもしれません。

印象に残ったのは、
「受け手の特権」
「ど素人の幸福」
という、面白いものも、つまらないものもバサバサ切り捨ててもいいということを表した言葉である。
らも氏も一読者として本に接してそう思うようです。
私もそう思っていて、面白い本もつまらない本も、作った相手がどれだけ苦労して作ったとしてもお構い無しに忘れて行きます。
それでいいと思っています。
そうしないと、次の本に手が伸びないから。
まあ、無意識の中で残っていて役には立っているとは思っています。
このらも氏の本も、大半の内容は一日経てば忘れるでしょう。
でも、自分の中に無意識に残っていくと思います。